ROME/ローマ

ROME/ローマ

Rome

2005·ドラマ·シーズン2·8.7

あらすじ

紀元前1世紀のローマ共和国末期を舞台に、カエサルの権力掌握からオクタヴィアヌスによるローマ帝国建設までを描くHBOとBBCの合作歴史大作。歴史の大きな流れを、架空の二人の兵士プッロとヴォレヌスの友情と人生を通して描く。

レビュー

「ROME/ローマ」は歴史ドラマの金字塔として「バンド・オブ・ブラザーズ」と並び称される傑作だ。HBOとBBCが当時のテレビ史上最高額を投じて制作したこのシリーズは、古代ローマという「知っているようで知らない」世界を圧倒的なリアリティで再現した。 最も革新的な点は、カエサルの暗殺、アントニウスとクレオパトラの恋、オクタヴィアヌスの台頭という歴史の大ドラマを「二人の名もなき兵士」の視点から描くという構造だ。プッロとヴォレヌスという出自の異なる第13軍団の兵士たちが、歴史的事件の周縁に偶然居合わせることで、「英雄の物語」ではなく「歴史の渦中に生きる人間の物語」を体験できる。歴史の決定的な瞬間に、無名の人間が関わっていたかもしれないという想像力の解放——これが本作の根本的な魅力だ。 古代ローマの日常生活の再現も見事だ。市場の喧騒、路地裏の商売、将軍の豪邸と奴隷の生活——階級社会の全スペクトルが同時に描かれる。現代人が想像する「白い大理石の清潔なローマ」ではなく、泥と血と欲望と香辛料と香炉の煙が混ざった生々しい都市の現実が全編を覆う。 二人の主人公の対比も見事に機能する。ティトゥス・プッロ(レイ・スティーヴンソン)は感情的で直情径行、ルキウス・ヴォレヌス(ケヴィン・マクキッド)は規律と名誉を重んじる。この対比が「ローマ人とはどのような人間だったか」という問いへの複数の答えを同時に提示する。二人の友情は全22話を通じて本作の感情的な核心であり続ける。 アトリア家の女性たちの政治的策謀も本作の重要な軸だ。アトリア(ポリー・ウォーカー)は「ゲーム・オブ・スローンズ」のサーセイ・ラニスターの原型とも言われる権力的な人物で、息子オクタヴィアヌスを権力の座に押し上げるために手段を選ばない。セルウィリア(リンゼイ・ダンカン)との権力闘争は、男性の戦場での戦いと並行して描かれる「もう一つの戦争」だ。 性的な描写と暴力も本作の特徴だ。HBOの基準で「成人向け」の内容を含むが、それらは扇情的な目的でなく「古代世界の現実」として機能しており、古代ローマの道徳観と現代の価値観のギャップを可視化する役割を持つ。 類似作品との比較:「スパルタカス」シリーズは本作の影響を受けながら更に過激な方向に進んだ後継作品。「ゲーム・オブ・スローンズ」はアトリアのようなキャラクターと政治的謀略の美学を継承した。「バンド・オブ・ブラザーズ」と製作会社が同じHBOで、歴史的大事件を下から描くという哲学を共有する。 ROME/ローマは歴史ドラマというジャンルを「権力者の物語」ではなく「一般兵士と庶民の目から見た歴史」として語り直した先駆的な試みだ。シーザー・アントニウス・ブルータスの政治的な権謀術数は、ヴォレヌスとプッロという2人の兵士の目を通してのみ届く設計になっている。 HBOとBBCが共同制作した記録的な制作予算は、ローマの街並み・衣装・小道具の細部に行き渡っており、「映画化された歴史教科書」という体験を提供する。剣闘士の訓練シーン、元老院の議場、庶民が暮らすインスラ(集合住宅)の路地——それぞれが単なる背景でなく、ローマという社会を理解する補助線として機能している。 女性キャラクター——アティアとセルヴィリア——の描写も本作の強みだ。政治的権力を持たない女性が、男性の権力を操作・利用することで生き抜いていく様は、歴史ドラマにおける「受動的な女性」という固定観念を解体する。歴史に興味がある人はもちろん、権力・家族・忠誠・裏切りという普遍的なテーマを好む視聴者にも幅広く届く傑作だ。 【外部評価】IMDb: 8.0/10

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