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ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー
2020
レビュー
同じ監督が生み出した「ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(2018年)で多くの視聴者が覚えた「Flanagan印のホラー」——それは幽霊だけが怖いのではなく、失われた愛と記憶と後悔が恐怖の本体であるという感覚だ。「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー」(The Haunting of Bly Manor、2020年)は、同じマイク・フラナガン監督によるアンソロジーシリーズの第2作で、ヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」を中心に複数の同作家の短編を組み合わせた、ゴシックロマンスホラーだ。
1987年のイングランド、ブライ荘。孤立した屋敷に、二人の孤児の子どもたちとその世話を頼まれたアメリカ人女性ダニーが来る。屋敷には何かが宿っており、夜ごと彼女は「見てはいけないもの」を見る。この基本設定は「ヒルハウス」と類似しているが、「ブライマナー」はより「愛の喪失」へと焦点を絞った作品だ。
ヴィクトリア・ペドレッティが演じるダニーは、作品の感情的な中心だ。彼女はある「過去の重さ」を引きずりながら、ブライ荘の子どもたちと庭師のジェイミーと接触し、閉じていた感情が少しずつ動き始める。このロマンスの要素が、ホラーとしての怖さと、物語としての痛みを同時に生んでいる。
「ブライマナー」は「ヒルハウス」ほど恐怖の密度は高くない。幽霊はいるが、跳び上がらせるタイプのジャンプスカアではなく、画面の隅に静かに佇むタイプの恐怖が多い。その代わり、「なぜ幽霊がそこにいるのか」という理由の解明が、単なる謎解きではなく、愛と執着と悔恨の物語として展開する。幽霊の正体が明かされるエピソードが持つ感情的な重さは、ホラーシリーズとしては異例の純度を持つ。
9話構成の中で、ある一話が完全な独立したゴシック・ラブストーリーとして成立しており、この回は「ホラーシリーズの中で最も美しいラブストーリー」として語られることがある。このエピソードが全体の感情的なクライマックスに配置されていることが、「ブライマナー」の設計の巧みさを示している。
こういう人に見てほしい。ゴシックロマンスが好きな人、「悲しい幽霊の話」というジャンルに惹かれる人。LGBTQ+のロマンスを、ホラーの枠の中で丁寧に描いた作品を探している人。「ヒルハウス」が好きだったが怖すぎた、という人には特にお勧めだ(本作はやや怖さが抑えめ)。
類似作品:「ヒルハウスの幽霊」「ミッドナイト・マス」など同監督の作品群が直接の比較対象だ。ゴシックホラーとしては「レベッカ」(デュ・モーリア原作)の系譜にある。
ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナーはヘンリー・ジェイムズの小説「ねじの回転」を原作に持ち、「幽霊は存在するのか、それとも語り手の狂気か」という原作の曖昧さを映像で再現することに成功した。
マイク・フラナガン監督の最大の才能は「感情的なホラー」を作ることだ。幽霊よりも人間の感情——喪失・罪悪感・愛着——の方が怖いという逆説を、ゴシックな館という舞台で体現している。前作「ヒルハウスの幽霊」との比較では怖さが控えめだが、感情的な深度においては超えているという評価も多い。
ダニーとジェイミーのロマンスが持つ「誰かを愛することの傷つきやすさ」という感情的核心は、ホラーの文脈を超えて普遍的に届く。「愛することと喪失することは同じことだ」という命題が、最終エピソードで詩的に完成される。ゴシック文学の愛好者、感情的なドラマを求める視聴者、LGBTQ+の物語を自然な形で描いた作品を求める人に推薦できる。
【外部評価】IMDb: 7.4/10
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ホラーロマンスゾクゾクする泣けるゴシック
