君の名は。

君の名は。

Your Name

2016·映画·112·8.4

あらすじ

東京の男子高校生と飛騨の女子高校生が夢の中で入れ替わる現象を通じて出会い、運命を超えた絆を結ぶアニメ映画。

レビュー

宮崎駿不在の時代に、アニメーション映画の次の頂点を誰が作るのか——その問いに、新海誠は「君の名は。」(2016年)という答えを携えて現れた。世界興行収入250億円を超え、「千と千尋の神隠し」の長年の記録を破ったこの作品は、ただのヒット映画ではなく、同時代を生きる若者の感情の核心に触れた作品として記憶される。 東京の男子高校生・瀧と、岐阜の飛騨古川に住む女子高校生・三葉は、ある日目覚めると互いの身体に入れ替わっていることに気づく。夢の中のような出来事として混乱しながらも、二人は入れ替わりを繰り返すうちに、日記と掟を作り、相手の生活に少しずつ溶け込んでいく。そしてその入れ替わりが突然止まるとき、物語は時間と記憶という、より深いテーマへと踏み込んでいく。 新海誠の映像美はこの作品でも健在だ。東京の夕暮れ、電車の窓から見える光の断片、雨の路面に映る看板の色——これらは写実を超えた「感情の風景」として機能し、登場人物の内面状態と同調する。特に糸守湖のシーンにおける光と影の演出は、アニメーションという媒体の可能性を改めて示すものだ。 RADWIMPSによる楽曲は作品と不可分だ。「前前前世」「スパークル」——これらは物語を補完する音楽ではなく、映像と一体化した感情装置として機能している。楽曲を聞くだけで映像が浮かぶ体験は、映画と音楽の幸福な融合が実現されたことの証拠だ。 この作品が広く受け入れられた理由の一つは、「触れることのできない相手への思慕」というテーマの普遍性にある。時間と空間を超えた二者の繋がりは、インターネットと現代都市に生きる若者が感じる「距離」の比喩としても読める。「いつかどこかで確かに会ったことがある気がする」という感覚——それを「前世」と呼ぶか「縁」と呼ぶかにかかわらず、その感情自体は世界共通だ。 こういう人に見てほしい。ロマンスと幻想的なSF要素が共存する物語が好きな人。映像と音楽の融合を楽しみたい人。日本のアニメに馴染みがない人が最初の一本として選んでも、十分な入り口になる作品だ。 類似作品:新海誠の「秒速5センチメートル」「天気の子」「すずめの戸締まり」へと続く作品群が近い。また細田守監督の「サマーウォーズ」「竜とそばかすの姫」も同時代の良質なアニメーション映画として並べて語られる。 君の名は。が世界的に受容された理由は、「入れ替わり」という設定が文化を問わず機能するファンタジーであることと、新海誠が切り取る光と風の映像詩的な美しさにある。三葉と瀧が経験する「知っているのに会えない」という感覚は、デジタルコミュニケーションが発達した現代における「繋がっているのに分断されている」という感覚と共鳴する。 RADWIMPSの音楽が映像と一体化するシーンのいくつかは、アニメ映画における「映像と音楽の融合」の最高峰として語られる。特に「前前前世」の使われ方と、終盤の時間が重なる場面での音楽の役割は、音楽が映像の感情を増幅するを超えて「それ自体が物語を語る」境地に達している。 「糸守町の風景」が実在の各地域(飛騨・四ッ谷など)への視覚的な愛情に満ちており、アニメ映画でありながら「実際に行きたい」と思わせるリアリティを持つ。アニメに馴染みのない人にも入り口として推薦できる一本だ。 新海誠が「君の名は。」で確立した映像詩のスタイルは、以後の「天気の子」「すずめの戸締まり」へと発展し続けている。出発点として本作は最も入りやすく最も純粋だ。 君の名は。が届けるのは「会えなかった誰か」への問いであり、その問いが今の誰かへの渇望と重なる瞬間に映画は完成する。 【外部評価】IMDb: 8.4/10 | Rotten Tomatoes: 98%

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