
レビュー
『SUITS/スーツ』は、ハーヴェイ・スペクターというニューヨーク最強のクロージング弁護士が、実は法科大学院を出ていないマイク・ロスをアソシエイトとして雇うことから始まる法廷ドラマだ。2011年にUSAネットワークで開始し9シーズンにわたって放送されたが、2023年にNetflixで発見した世代が急増し、公開週にNetflixの週間視聴時間記録を更新するという異例の再評価を受けた。
ハーヴェイとマイクの関係は師弟だが、対等な知的パートナーシップの側面が強い。ハーヴェイは感情を戦略として使い、マイクは感情を動機として使う。この違いが衝突と信頼の両方を生み、単純な師弟ものにならない複雑さを維持している。ガブリエル・マクトが演じるハーヴェイは、スーツの着こなし、コーヒーの頼み方、エレベーターでの立ち位置に至るまでキャラクターの地位を具現化しており、彼が登場するだけで画面の引力が変わる。
法廷ドラマとしての技術的正確性は低く、実際の弁護士から批判されることもあるが、この作品が追っているのは「交渉の心理戦」であり「法律の手続き」ではない。デポジション、和解交渉、対立陣営との密室での取り引き、これらは知性のパフォーマンスとして描かれ、台詞の速度と密度がジャンルの気持ちよさを生み出している。
ジェシカ・ピアソン(ジーナ・トーレス)、ルイス・リット(リック・ホフマン)、ドナ・ポールセン(サラ・ラファティ)といった脇役陣は、シリーズが進むにつれてそれぞれが固有のドラマを持つようになり、「ハーヴェイとマイクの物語」から「ピアソン・スペクターの物語」へと重心が移行していく。シーズン3以降から「秘密がバレるかもしれない」というサスペンスが希薄になり、物語の変化が必要になるが、それでも画面の快楽は持続する。
ニューヨークという都市がSUITSにとって単なる背景以上の意味を持つ。ピアソン・スペクター・リットという架空の法律事務所が高層ビルの上層階に構える設定は、権力と高さの象徴として機能している。ガラス張りの会議室での対決、エレベーターでの短いやり取り、廊下での接触——都市の垂直性がキャラクター間の権力関係を空間的に表現している。
マイク・ロスの「法科大学院を出ていない」という秘密は単なるサスペンス装置だけでなく、「学歴・資格という形式的な証明書が実際の能力を代替しているシステム」への問いかけとして機能する。マイクは実際に優秀な弁護士として機能するが、その事実がシステムを変えることはない。このアイロニーが物語の感情的な複雑さを作り出している。
キャスト全体のケミストリーが9シーズンを通じて維持される稀有な例として、このシリーズは評価できる。メeghan Markle(ラコール・ゾーン役)がシーズン7で降板したことが現実的な話題を呼んだが、シリーズとしての物語の流れは新キャラクターを組み込みながら継続した。エンターテインメントとしての職人的な完成度と、法廷ドラマというジャンルへの誠実さが、記録的なリバイバル人気を生んだ要因だ。
法律知識が全くなくても楽しめる点がSUITSの最大の美徳だ。専門用語は出るが文脈で意味が通じる設計になっており、むしろ「交渉のダンス」として純粋に楽しめる。ビジネスパーソンが職場での権謀術数に親しみを感じる作品として、2023年のNetflixリバイバルは明確な証拠だ。「卓越した仕事への憧れ」は時代を問わない普遍的な欲求であり、このシリーズはその欲求に正直に応えている。
ハーヴェイの仕事ぶり——交渉の空気を一瞬で変える能力、相手の弱点を一目で見抜く洞察力——は「プロフェッショナルとはどうあるべきか」への一つの答えとして機能する。
【外部評価】IMDb: 8.4/10
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